今回は、「人からの評価が気になり、つい『良い人』を演じてしまう。人から利用されている気がして人を信じられない。友人は欲しいが、自分の気持ちをうまく表現できないので打ち解けられない。この性格を変えて、人生を楽しみたい」とおっしゃる34歳の「なお」さん(女性)です。
正直なうえに、ご自分のことをきちんと冷静に分析されていらっしゃるのには感心しました。このように自己分析できていれば、あとは変わるための方法と意志力さえあれば大丈夫です!
ではまずは全体のバランスから見て行きましょう。文字は全体に曲線のないデジタル文字で、やや縦長気味に揃って書かれています。これは、精神性を重視して感情に波がなく、何事も淡々と行動するタイプの人に多い文字形です。
一方、行に注目すると、「神」の書き出しが、随分と下から始まっていますね。通常であれば、これは「天アキ型」といって、何か事を始める前には情報収集に時間をかけるなど、いろいろと考えてから取り組もうとする慎重なタイプによく見られる特徴です。もちろん、「なお」さんにもこれはあてはまりますが、よく見ると「神」と「根」は同じ位置にあります。つまり、「なお」さんの中には、無意識に「自分だけ飛び出したくない」「周囲の人と足並みをそろえたい」、或いは「そうしなければならない」という気持ちがあると考えられます。ここに「つい『良い人』を演じてしまう」行動傾向が見られるのです。
次に、文字の特徴に移ります。考え方を表す「接筆部」は、「県」と「根」を除いて、他は閉じています。そして行動傾向を表す「転折部」は、角張っています。ここから、考え方も行動面でも非常に生真面目で、几帳面な「なお」さんであることがわかります。さらに、ハネの部分を見ると、しっかりはねていますから、請けた仕事はきちんと最後までやらなければ!と思い、納期までに間に合わせようと頑張るタイプでしょう。
このように責任感の強い真面目な「なお」さんのもう一つの特徴は「頭部突出型」であるところです。これは、「人並みではありたくない」「人の下で唯々諾々としているのはいやだ」「自分の思うとおりに進めて生きたい」といった、リーダー気質を表します。つまり、「なお」さんの中には、「自分を強く打ち出していきたい」気持ちと、「周囲と足並みを揃えていきたい」気持ちとがあって、二つの相反する想いが葛藤しているのですね。また、周囲の目を気にして、自分の気持ちを優先できないのは、常識的で生真面目な面が、やや過剰に働いているせいと思われます。社会生活を送る上で、周囲の人と気持ちよく過ごすためには、真面目さや責任感はとても大切です。しかし、過ぎるとまたそれが自分にも人にもデメリットとなりますよね。
ですから、今後の文字を書くときには、考え方に柔軟性を持たせるために接筆部は開け、転折部は丸く書くようにしてみましょう。本来生真面目な「なお」さんですから、書き方を変えるとルーズになるということはありませんのでご安心下さい。
また、人を信用できないことについては、実は他人ではなく、自分自身を信用していない可能性があるのです。その時「信用」という言葉を、「自信」に置き換えるとわかりやすいかもしれません。なおさんの内側にあって、まだ発揮されていないパワーが「私はこんなもんじゃない!」と抗議の声を上げているようです。人の評価を気にしないことは難しいでしょう。しかし、評価されるために頑張ったけれど、思ったほど嬉しい気持ちにならないと気づいたら、違うやり方を試してみる時期です。少しずつ、自分が喜びを感じられる行動を選びましょう。最初は小さなことからで構いません。私から「なお」さんに贈る言葉は、最近の本にあった「成功を測る真の物差しは人生で感じる喜びだ」です。喜びの多い人生を自ら選択してくださいね!