経営者の四季

営業マンの犯罪(2007.10月号)

■忙しい小売業を狙う悪いやつら

ある食品スーパーを舞台にした犯罪ですが、スーパーに限らず小売店には人ごとではない話です。小売店には様々な業種の営業マンが来ますが、中にはタチの悪い者もいます。 その手口はこんな具合です。

①まず、営業マンが店員に代わって商品を売り場の棚に詰める。
②次に、店の担当者に納品した商品をチェックしてもらい確認サインをしてもらう。
( このとき納品書は切り離さずノート状態)
③最後に事務所に行き、納品書を提出し、受領書に検収印をもらって退出。
以上が本来の作業です。
この過程の中で次のような「余計な仕事?」をするのです。
営業マンは、一度自分の車に戻るなどして納品書に一行追加し、店員のチェックを真似してチェックの「レ」点を書き込み、何くわぬ顔でその納品書を事務所に届けるのです。

■やられた!500万!

大抵のスーパーは、店員と事務員の交流はさほどありません。店員のチェックがあれば、伝票に特別注意を払うような優秀な事務員はめったにいないのです。営業マンは納品したことになった商品を現金仕入れの別の店などに販売し、懐に入れるというわけです。
ある日何気なく納品書を見ていた社長は、納品書に書かれた大量の納品に気がつきました。「???何だ、これは!!」
自店がこんなに大量に仕入れるはずがない。驚いて調べてみると、何と5年間に遡って怪しい納品書が100枚以上出てきました。「やられた!」計算してみると、何と500万円以上やられているらしい。

■チェック「レ」を鑑定する

こんなわけで、チェックの「レ」点を鑑定してほしいとの依頼がありました。図がその納品書のコピーとチェックした部分の拡大です。最終行の「レ」点のみ筆圧が強く、チェックの形も微妙に違っています。

この他、「レ」点の角度の異なるもの、小さくなるものなど、調査したすべての納品書がクロと思われます。ただし、この違いだけでクロだとは判断できません。「可能性が極めて高い」とするのが精一杯のところです。
依頼者に話すとそれで十分だといいます。鑑定結果と状況証拠をもって交渉すれば解決できそうだとのこと。
・・・・・・・と、いうことで、一件落着。小さなお店は慢性的に人手不足で防犯面などは弱体です。しかし、それを営業マンなどに見抜かれてはまずいのです。商品も伝票もチェックを怠らず、管理の厳しい店だと認識させることが肝心です。

筆跡で適材適所を(2008.5月号)

■筆跡でなぜ性格がわかるのか

私は筆跡鑑定のベースに「筆跡心理学」の知見を生かしている。 筆跡心理学とは筆跡から人の性格や個性を読み取れる技術。人の性格や個性は行動に表れる。そして「筆跡とは文字を書くという行動が痕跡として残ったもの」だから、筆跡には、書き手の性格や行動傾向がそのまま表れているのである。
たとえば道で友人に出会った時「ヤア!」と元気よく手を上げる人もいるし、小さな会釈だけの人もいる。この2人に、たとえば「大」という字を書いてもらうと、前者は大きめの文字で左右の払いも大きく跳ね上げる。後者は小さめな文字で左右の払いも抑えたように短めに書く。前者の元気の良い活発な性格がそのまま筆跡に表れるのである。
この原理を理解すると、人材と適職の関係が見えてくる。多くの見方があるが、今回は基本的な2つの分類をお伝えしよう。

■「生真面目型」か「融通型」か

生真面目型とは、考え方や行動が堅くて1つのパターンをしっかり守るタイプ。仕事としては、技術系、製造系、事務系、会計など、決められた手順を守らなければならないような職種に向いている。このタイプの人は、「口」や「日」などの文字を書くときに、右上の図のAのような書き方になる。左上の接筆部をきちんとと字、右上の転折部を角張らせて書く。これは小学校で教わった書き方であり、それを大人になっても守っているのは、真面目な性格だからである。
一方、Bのように接筆部を少し空け、転折部を丸く書く人がいる。これは、あまり窮屈なのは敵わない。少しゆとりがあったほうがよいという性格の反映であり、融通性に富んでいる。このタイプの人は、営業系、企画系、管理職などに向く。人付き合いも滑らかなので人間関係力が高く、どちらかと言えば攻めに強い。

■後継者はどちらのタイプがよいのか

ここまでお読みになれば、後継者にはどちらのタイプが好ましいかは、おおよそお分かりになるだろ。一般的には「融通型」が社会向きとはいえる。しかし、一定期間リレー役を務めてもらいたいケースもある。「今までの方針を踏襲し新機軸は打ち出さないでもらいたい」などということになる。
この2分法をよく理解していただければ、人事方針の強い柱になるだろう。

社長に相応しい筆跡とは(2008.10月号)

■筆跡を変えると性格が変わる?

人の性格は行動に表れる。筆跡は文字を書くという行動が紙に残されたものだから、筆跡を読み解けば書き手の行動や性格が分かる。
この原理を逆に応用して「文字を変える=行動を変える」ということを長年続けていけば、性格を変えることが出来る。

■「運」とは「因果の法則」の別名

人には運・不運があるといわれる。確かに自分では自由にならない「外因」はあるが、多くは行動の積み重ねが人生を左右している。行動派選択できるのでこれを「真因」と考えるべきだろう。つまり、次の図式になる。

このように理解すると、日頃の何気ない行動の大切さがわかる。そこで、自分の日頃の行動を、文字(筆跡)を帰ることで変えるというメソッドが活用できる。

■「不運型」の筆跡を変える

図Aは「不運型」の筆跡である。事実、この方は中堅企業の2代目だったが、気が弱く、自己中心的な性格だった。そのためもあり、50代で先代からの事業を倒産させた。

偏とつくりの間(開空間)が狭く、他人の意見を聞けない性質が表れている。「机へん」が左に、最終画が右に突出している。これは才気や熱意はあるが、ヒステリー的な自己中心性があることを示している。しかし、その後Bの筆跡に変えて融通性のある性格となり、再起を果たした。
Cの方は文字を見れば見当がつくように、極めて真面目な技術系の社長である。それだけに部下に対し厳し過ぎ、人が居つかなかった。この方には「開空間」を広く書いて包容力を身につけるよう助言した。今の文字がD。余裕が出てうまくいっているとのことである。

■筆跡を変えるのなら一箇所に

社長に相応しい筆跡を図Eで説明しよう。第1は「木へん」の頭部の突出しである。この部分が長い人は、自ら道を切り開く気概がある。勿論「大」や「木」など同じ形の文字すべてに通じる。第2は「ハネの強さ」である。これは「粘り強さ」に通じる。そして、第3は「開空間の広さ」、これは「粘り強さ」に通じる。そして第3は「開空間の広さ」、これは「包容力」である。

しかし、開空間が狭いからといって悲観するには及ばない。狭い人は自分の考え方ややり方に固執する傾向はあるが、その上で努力家なら名人芸と言われるような独創力を発揮する可能性を持っている。
要は、特徴はそのまま生かし、一つぐらいを矯正することが望ましい。