設立の趣旨
私どもは「一般社団法人日本筆跡鑑定人協会」を設立し、法人登記並びに商標登録をいたしております。この設立趣旨につき少し説明いたします。
- ご存じのとおり、筆跡鑑定人は、裁判所や法律事務所及び一般人などの依頼を受けて、主に民事裁判用の鑑定書を作成します。鑑定書は裁判の証拠書類となる重要なものです。しかし、わが国では筆跡鑑定人は、公的な資格制度がないため誰でも鑑定人を名乗ることができます。鑑定人は、高い能力と高い倫理性が求められる職業ですが、わが国の現状は玉石混交であり、依頼者にとって望ましい環境が設備されているとは言えません。また、筆跡鑑定人は、科学警察研究所(科警研)や科学捜査研究所(科捜研)といった警察官のOBが多いのですが、近年、京都の一澤帆布・遺言書問題など、警察関係者の筆跡鑑定について、その科学性や公平性に関して批判も少なくありません。
(東京新聞08/11/29の記事。雑誌『JW』No.5の記事)。私どもは、筆跡鑑定人として、また筆跡鑑定人を養成する立場として、この現状に強い危機感を持っています。そして、わが国においては民間人主体の正しい鑑定業界の構築が急務であると認識しております。
- そこで、高い能力と倫理性を併せ持った筆跡鑑定人を養成・組織化し、依頼人の安心して依頼することのできる鑑定環境を提供したいと考え、「一般社団法人日本筆跡鑑定人協会」を創設いたしました。一般社団法人日本筆跡鑑定人協会は日本の筆跡鑑定のレベルアップのために、今後つぎの三つの活動を順次進めていく予定です。
鑑定人の能力向上のための相互研究
「日本筆跡心理学協会」で養成している鑑定人と、本会趣旨に賛同する鑑定人を組織化し相互研鑽の場を設け、筆跡鑑定の研究及び新技術の開発等を行い、筆跡鑑定人及び業界としての技術水準の向上を図ること。
鑑定人の身分に関わる自主的な管理・運営体制の確立
筆跡鑑定人は、高度な技術と同時に社会的公正を志向する高い倫理性が望まれる。そこで、技術と倫理性の両面から、望ましい鑑定人の資格や登録、罰則規定など、筆跡鑑定人の守るべき規準の整備を進め、依頼人が安心して筆跡鑑定を依頼できる環境を整備すること。
社会ニーズへの対応と筆跡鑑定人の地位の確立
わが国の筆跡鑑定業界は、筆跡に関わる社会的ニーズに十分に対応できているとはいえない。このような現状を改善し、誰もが安心して筆跡鑑定を利用できる体制を整備することによって筆跡鑑定人の社会的地位の確立を目指すものとする。